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RAW WINE 創業者イザベル・レジェロンMWに訊く「ナチュラルワインの現在地」

RAW WINE 創業者イザベル・レジェロンMWに訊く「ナチュラルワインの現在地」

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世界的に「ナチュラルワイン(ナチュールワイン、自然派ワインと同義)」ブームが発生し、その勢いはとどまることを知らない。健康志向やサステナビリティへの関心から人気が高まっており、ラベルや味のユニークさから若者を中心にSNSでも話題となっている。日本でも都市部ではナチュラルワイン専門のバーやレストランが急増し、より身近な飲み物として市場が拡大しつつある。しかし、ナチュラルワインの「具体的な定義」や「レストランでの扱い方」は定まっていないのが現状だろう。

そこで今回、12年前にナチュラルワインの祭典「RAW WINE (ローワイン)」を創業したマスター オブ ワインのイザベル・レジェロン氏に「ナチュラルワインの最新動向」をお聞きした。RAW WINEは2025年5月10(土)〜11(日)東京で二度目の開催を迎えている。

インタビューではリーデル・ジャパン代表取締役社長ウォルフガング・アンギャルとイザベル・レジェロン氏が対談。他では聞けないナチュラルワインとワイングラスの関係性や、レストラン関係者向けへのメッセージ、ぜひご一読いただきたい。
Q(ウォルフガング・アンギャル,以下Q):ナチュルワインの定義とは何でしょうか?ソムリエやレストラン関係者などのプロフェッショナル向けにはどのように説明していますか?

A(イザベル・レジェロン氏,以下A):私はナチュラルワインを「生きているもの」と定義します。ナチュラルワインとは、畑から醸造、そしてグラスに至るまで生命を守ることがすべてです。レストランでは「テロワール(その土地の個性)」という概念が非常に重要であり、ワインがどこから来たのかをお客様に伝える物語の一部となっています。

しかし、本当の意味でテロワールの表現を語れるのは、そのワインが、生きた土壌と豊かな生物多様性に支えられて育ったブドウから造られている場合だけです。ブドウの木がその土地にしっかりと結びついていてこそ、本物の「その土地の個性」を語ることができるのです。

ナチュラルワインの大部分、約80%は畑で決まります。残りはセラーでの作業であり、ブドウが持つ微生物のバランスを壊さないように醸造することが求められます。ブドウにはすでに水分、糖分、酵母、ミネラルといった、美しいアルコール飲料を作るために必要なものがすべて備わっています。私たちの役割は、畑で生まれた微生物の世界を守り、自然に自由に表現させることで、本当に「生きた」ワインを造ることなのです。シンプルに言えば、ナチュラルワインとは100%ブドウジュース − 必要に応じてごく少量の亜硫酸塩(酸化防止剤)を加えることもありますが − それだけです。

Q:RAW WINEへ出展できるワインには基準があるのでしょうか?

A:私たちは、コミュニティに参加しフェアでワインを提供したいと考える生産者に対して、厳格な「クオリティ憲章(Charter of Quality)」を設けています。RAW WINEのすべての生産者は、最低でも100%有機農法でブドウを栽培し、醸造においても極力介入を控えた方法でワインを造らなければなりません。生産者には、農法や醸造方法についてのアンケートに回答してもらい、有機認証の証明書やワインの分析データ(特に亜硫酸塩の含有量がEU基準を大幅に下回っていること)を提出してもらいます。

上記の基準をすべて満たした生産者に対してのみ、既存のRAW WINEコミュニティメンバーから推薦を受けるよう求めています。そして、最終的な決定を下す前に、私たち自身でもそのワインを試飲します。

私たちの活動が広がる中で、自然で持続可能な方法で本当に真摯に取り組んでいる職人たちを紹介し続けることが、私にとってとても重要なことなのです。

Q:近年、ナチュラルワインを提供する人気レストランやカフェが増えていますが、ワインリストにナチュラルワインを加えるメリットは何でしょうか?

A:ナチュラルワインは、適切に調達・栽培された食材を提供するというキッチンの哲学と一致しています。ここ5年ほどで、ナチュラルワインを扱うレストランやバーが本当に増えてきたのを見るのは素晴らしいことでした。

以前は、キッチンとセラー(ワイン)との間にもっと大きな隔たりがありました。シェフたちは素晴らしい食材やその調達の重要性にはこだわっても、ワインは後回しにされがちだったのです。しかし今では、ワインセラーにも同じ基準を求めるお店がたくさん増えています。

ホリスティック(全体的)な視点から見ると、ナチュラルワインを取り入れることは、自分たちの哲学に忠実であり続ける一つの方法です。もし本当に「自然を大切にしなければならない」と信じているのなら、食べ物だけでなく、ワインにもその考えを反映させるべきです。

味わいについても同じことが言えます。外食する際、私たちは「美味しいもの」「誠実な料理」を求めますよね。お客様の視点から見ても、ワインがその会話の一部であることはとても大切だと思います。

Q:ナチュラルワインをワインリストに加える際に心がけるべきことは何でしょうか?

A:私はこれまで、ミシュラン星付きレストランから、よりカジュアルな飲食店やワインバーまで、さまざまな場所でチームづくりやワインリストの管理に携わってきました。

私にとって、ナチュラルワインをリストに加える際に非常に重要なのは、自分自身だけでなくチーム全体がその理念にしっかりとコミットしていることです。理由はいくつかあります。

まず、ナチュラルワインはヴィンテージ(収穫年)ごとのばらつきが非常に大きいため、一般的なワイン(毎年比較的均一で予測可能な品質のもの)に比べて、提供するワインをより頻繁にテイスティングする必要があります。もちろん、それは手間がかかるということでもあります。

次に、ナチュラルワインを選ぶ意義をお客様にしっかり伝えるためには、従来のワインとの違い、特に農法や醸造方法の違いとその重要性について、深く理解している必要があります。良いニュースとしては、いまやナチュラルワインは世界中、しかも非常に人気のある産地でも造られるようになってきたということです。シャンパーニュ、ブルゴーニュ、ボルドー、ローヌやロワールの主要地域、リオハやトスカーナなど、クラシックな名前のワインを揃えながら、ナチュラルワインを組み込んだ強力なワインリストを作ることができる段階に来ています。ナチュラルワインの人気が高まったことで、消費者が知っているアペラシオン(原産地呼称)や地域のワインを、さまざまなスタイルやブドウ品種、ヴィンテージで揃えることがより簡単になり、販売もしやすくなっているのです。

Q:近年、日本でもワイナリーの数が増加し、ナチュラルワインを含む多様なワインが造られるようになっています。現在注目している日本のブドウ品種について教えていただけますか?また、その理由もぜひお聞かせください。

A:私は本当に、「劣ったブドウ品種」というものは存在しないと信じていますし、「高貴な品種」という考え方にもあまり賛同していません。ほとんどのブドウ品種が素晴らしいワインを生み出すポテンシャルを持っているからです。

ある品種はより果実味あふれるワインを生み出し、また別の品種はより土っぽいニュアンスや熟成に向くワインを生み出します。ただ、それらは単に異なる表現方法であり、優劣ではありません。しかし、ワインに興味深く複雑な表現を求めるのであれば、絶対に欠かせないのは「素晴らしい農業(栽培)」です。つまり、果実が有機栽培で育てられ、生きた土壌の上で育ち、やさしく導くような形で自然発酵されれば、どんな品種—甲州、ピノ・ノワール、デラウェア、スチューベンであっても—それぞれが生まれた土地のテロワール、土地の個性をしっかりと表現することができるのです。

重要なのは、流行やファッションに流されるのではなく、その土地に適した品種を選び、最も持続可能で自然な形でブドウを育てることです。無理に適さない土地でブドウを育てようとするべきではありません。

実はこのテーマは、今年のRAW WINE TOKYOで開催するマスタークラスの一部でも取り上げられます!
KAZU WINEの藤巻一臣さん、GRAPE REPUBLICの矢野陽之さん、SHINDO WINESの阪本開さん、そして「御酒Vin帖」作者の萩野浩之さんが登壇し、日本でブドウを栽培することの難しさや、ハイブリッド品種(交配種)がより良い農業や土地とのつながりを実現するチャンスとなるかについて議論する予定です。さらに、今年のフェアには日本から11軒もの生産者が出展予定なので、さまざまな表現やブドウ品種を味わいながら、自分自身のお気に入りを見つける絶好の機会になるでしょう!(取材時はマスタークラス開催前)

Q:日本では「亜硫酸無添加=ナチュラルワイン」と言われることが多いですが、亜硫酸の添加とナチュラルワインの関係について教えていただけますか?

A:亜硫酸は、従来型ワインとナチュラルワインを比較する際によく話題に上がります。なぜなら、両者の間での大きな違いのひとつだからです。亜硫酸は、防腐剤としてワインを「欠陥」(揮発酸、酵母汚染、酸化など)から守るために使用されます。ここで「欠陥」とカギ括弧を付けたのは、これらの要素がワインに深みや複雑さをもたらすこともあるからです。健康なブドウ果汁と清潔な醸造環境でワインを造る場合、大量の亜硫酸を使う必要性は減り、むしろスタイルの選択にすぎなくなります。

ですが、本当に大切なのは亜硫酸だけではありません。私の考えでは、生産者の農業に対する姿勢—例えば、土壌の健康を重視し、ブドウ畑で生物多様性を育むこと—の方がはるかに重要です。意識的に栽培されたブドウからは、生命力に満ちたピュアな味わいが生まれます。従来型農法で育てられたブドウから、低介入・無添加亜硫酸のワインを造ったとしても、本質的なところで物足りなさを感じるでしょう。

単に「ナチュラル」とマーケティングするためだけに亜硫酸無添加のワインを造っても、それは味わいの面でも失敗に終わるでしょうし、何よりも、もしブドウが従来型農法で育てられているなら、そのワインは定義上ナチュラルワインとは呼べません。それは単に、低介入で作られた「従来型農法ワイン」にすぎないのです。

Q:レストランでナチュラルワインを提供する際、ワイングラスの形状やサーブする温度は重要だと考えますか?また、レストランでナチュラルワインを提供する際に気をつけるべきポイントがあれば教えてください。

A:もちろん、ワイングラスの形はとても重要です。特に、グラスの感触や、どれだけ軽いか、飲み口の薄さなどが大事ですね。ある程度は、提供する飲み物に合わせてグラスの形を変えるのが良いと思います。ただ、何十種類もの異なる形のグラスを用意する必要はないとも考えています。レストランであってもシンプルに、軽やかなワインにもフルボディのワインにも対応できる、よりユニバーサルな形を採用するのが好きです。

たとえば、私はシャンパーニュを細長いフルートグラスで提供することはしません。というのも、シャンパーニュはもっと呼吸できるスペースが必要で、香りや味わいを十分に表現するためには広がりのあるグラスが適しているからです。リーデルの ヴィンテージ・シャンパーニュグラス のような、幅広のグラスの方がずっと良い選択肢だと思います。ナチュラルワインは特に酸素を必要とするので、グラスの中で十分に呼吸できるスペースを与えることが大切です。そのため、場合によってはデカンティングも有効です。

サーブする温度は、ナチュラルワインにとってさらに重要です。なぜならナチュラルワインは「生きている」からです!白ワインやスパークリングワインを冷やしすぎるのは良くないと考えています。私はセラー温度である10〜12℃くらいが好みです。赤ワインの場合は、16〜17℃くらい、少し引き締まった涼しめの温度が好きです。グラスやデカンタの中でゆっくりと温度が上がっていく過程を楽しめるからです。

Q:リーデルは特定のブドウ品種に合わせたグラスを提供していますが、ナチュラルワインを楽しむ際に特に適している、または注目すべきグラスはありますか?

A:私はリーデルの <ジ・オー・ワインタンブラー> がとても気に入っています。とてもシンプルで素敵なステムレスのワイングラスです。もしもっとスペースが必要なワインを飲んでいる場合は、<ソムリエ>モンラッシェグラスを使いますが、家ではリーデルの <エクストリーム>リースリング/ソーヴィニヨングラス (または <ジ・オー・ワインタンブラー>リースリング/ソーヴィニヨングラス !)をよく使います。

Q:リーデルのワイングラスと最初に出会ったきっかけと、その印象について教えてください。

リーデルと初めて出会ったのは、私のキャリアの初め、約25年前のことです。ロンドンの大きな展示会で行われたマスタークラスで、リーデルの10代目当主ゲオルグ・リーデルが同じワインを異なるグラスでブラインドテイスティングするセッションを開いたのがきっかけです。そのとき、グラスの形によって風味のプロファイルや質感、タンニンの感じ方がどれほど変わるのかに驚かされたことを覚えています。リーデルは、特定のブドウ品種に合わせてグラスを調整するのが本当に得意だと思います。

開催情報
▼日時
2025年 5月10日(土)、5月11日(日) 各2部制
午前の部:10:00〜13:30
午後の部:14:30〜18:00

▼会場
東京流通センター イベントホール第二展示場 Fホール
(東京都大田区平和島6-1-1、東京モノレール・流通センター駅 徒歩30秒)


記事構成 = リーデル・ジャパン

会場で使用いただいたグラス

商品タイトル
品番:code-1234

 
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2025.00.00
タイトル
これはダミーテキストです。ブログ情報は実ページ上で挿入されます。
ライター名
2025.00.00
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